メガデデンネはマイナー

SS板Produceで完結したSSなどをまとめていきます。プロデューサー支援用ブログ

ゼルネアス「イベルタル、夕食にしましょう」

◆vFXNMcLLi. 2014/09/01(月) 18:45:05 id:zatGL7860
イベルタル「はぁ!?お前と飯食うとかどんな拷問だよ!?」

イベルタル「どうせまたうっぜぇ説教してくんだろ!?あぁ!?」

ゼルネアス「……その件、まだ引っぱるつもりなのですか?」

イベルタル「森のひとつやふたつ枯らしたくれーでぐちぐちぐちぐち!うっせぇんだよ!」

ゼルネアス「ひとつやふたつ、と言いましたか?聞き捨てなりません」

ゼルネアス「豊かな森が生まれるまでにどれだけの膨大な時間を必要とするか、理解していますよね?」

ゼルネアス「長い年月を掛け育まれた美しい命を一瞬で奪う貴方の行為は下劣です」

ゼルネアス「せいめいポケモンとして簡単に許すわけにはいきません」

イベルタル「そーゆーのがうっぜぇ説教だっつってんだよ!!!」

ゼルネアス「……まだ言いますか。貴方は本当に」

イベルタル「もういい!!!俺は寝る!!!ぜってー邪魔すんじゃねーぞ!!!」





ピシャッ

 

◆vFXNMcLLi. 2014/09/01(月) 18:49:25 id:zatGL7860
ディアンシー「……それで、この岩戸の向こうへ引きこもってしまったのですね」

ゼルネアス「ええ。翌日には出てくるだろうと軽く見ていたのですが、三日経っても出てこないのです」

ディアンシー「また繭になってしまったのかしら、それとも……」

ゼルネアス「オーラから察するに、我々がよく知るYの姿のまま生きています」

ゼルネアス「それに、ノックすると壁を殴るような音が聞こえてきますよ」

ディアンシー「本当ですか?」


コンコン




ドコォォォン!!!!!



ディアンシー「……ほ、本当でした」
◆vFXNMcLLi. 2014/09/01(月) 19:03:59 id:zatGL7860
ゼルネアス「彼のへそ曲がりには慣れているつもりでいたのですが……」

ゼルネアス「このような事態は初めてで、こう見えてとても戸惑っているのです」

ゼルネアス「それに、食物が一切ないこの洞穴から三日も出てこないということは」

ディアンシー「……三日間、なにも口にしていない……!?」

ゼルネアス「そういうことになりますね」

ディアンシー「そんな!三日もごはんを食べないなんて私には考えられません!」

ゼルネアス「食いしん坊な彼のことですから、木の根や土を口にしている可能性はあります」

ディアンシー「……そんな……イベルタルは大丈夫なのでしょうか……?」

ディアンシー「今はあの壁パンチのように元気でも、このままでは弱ってしまって……そして……」


ディアンシー「……ええっと……どんなことが起きるのです?」

ゼルネアス「そうですね……」



ゼルネアス「彼の力が弱まれば、世界の『生』と『死』のバランスは崩れ、カロスはたちまち凍りつき……」

ゼルネアスフラージェスは枯れ、トゲキッスは空を捨て、トレーナーは微笑みを無くすでしょう」



ディアンシー「それは大変!早くなんとかしなければ……!」
◆vFXNMcLLi. 2014/09/01(月) 19:14:43 id:zatGL7860
ディアンシーゼルネアス、あなたの角ならこの岩戸など簡単に砕けるのではありませんか?」

ゼルネアス「できると思いますが、相手は気難しい彼ですからね」

ゼルネアス「無理矢理引きずり出そうとするのでは逆効果になりかねません」

ディアンシー「逆効果、ですか……」

ゼルネアス「出来ることなら『彼が』『自分の意思で』外に出るように仕向けたいのです」

ディアンシー「……隠れた人が、自分の意思で…………あっ!」

ディアンシー「幼い頃マジマから聞いた、太陽の神が岩戸に隠れてしまう物語を思い出しましたわ!」


ディアンシー「太陽の神が姿を隠してしまったので、世界が暗闇に包まれてしまいました」

ディアンシー「畑の野菜は育たず、ひどい病気も蔓延し、人々は困り果てました……」

ディアンシー「そんな時、ある素晴らしい作戦を思い付いた人がいたのです!」

ディアンシー「しばらくして、岩戸の前で歌ったり踊ったりのお祭り騒ぎ作戦が始まります」

ディアンシー「『太陽の光が無くなって困っているはずの人々が楽しそうなのは何故だろう?』」

ディアンシー「不思議に思った太陽の神は、人々の様子を見るために自ら岩戸を開けたのです!」


ゼルネアス「……なるほど。その物語は参考になりそうですね」
◆vFXNMcLLi. 2014/09/01(月) 19:22:39 id:zatGL7860
ディアンシー「物語と同じように、歌ったり踊ったりしてみましょうか」

ゼルネアスディアンシー、貴方はどんな歌が歌えるのですか?」

ディアンシー「では、一番得意な歌を歌ってみます!」


ディアンシー「うまれてはー そしてきえーてくー♪ みーずのーあわー みたいにー♪」

ディアンシー「かーわってくー このーせかーいにー♪ こうしてーいきーていーるーけーれどー♪」


ゼルネアス「……いい歌ですが、どうせみんな石になりそうな歌ですね」

ディアンシー「……はい……」

ディアンシー「で、では、踊りはどうでしょう!えいっ!えいっ!」(ピョンピョン

ゼルネアス「可愛らしい踊りですね」

ディアンシー「ありがとうございます!」(ピョンピョン


ゼルネアス「……しかし、今更ですが……」

ゼルネアス「我々二匹が歌い踊ったところで、それをお祭り騒ぎとは呼び難いのでは?」

ディアンシー「あっ……」(ピョン…
名無しのデデンネ 2014/09/01(月) 19:29:32 id:QU4l.zo20
天照って言おうとしたらすでに本編で触れられてた・・・
◆vFXNMcLLi. 2014/09/01(月) 19:29:48 id:zatGL7860
ゼルネアス「もっと別の方法を考えましょう」

ゼルネアスポケモン二匹が激しく騒いでも違和感のない状況……」


ディアンシー「……バトル、ですか……?」


ゼルネアス「素晴らしい案です」

ディアンシー「えっ!あの、なんとなく言っただけなのですが本当にやるおつもりで」

ゼルネアス「そう怯える必要はありません」

ディアンシー「で、でもそんな、ゼルネアスとバトルだなんて……私にはとても……」

ゼルネアス「彼は岩戸の中にいるのですから、それらしい音を出すだけで大丈夫でしょう」

ディアンシー「……周りの岩や木を攻撃して、バトルしている振りをする、という意味ですか?」

ゼルネアス「その通り。私が優勢だったところを貴方が逆転するという波乱の筋書きにしましょう」

ゼルネアス「激戦を演じられるよう、なるべく音が派手な技を用いましょうか」

ディアンシー「では、とどめの技はダイヤストームで……」

ゼルネアス「それで行きましょう」

ディアンシー「はい!」
◆vFXNMcLLi. 2014/09/01(月) 19:35:04 id:zatGL7860
ゼルネアス「……ディアンシー、突然ですが勝負をしましょう。メガホーン!」(ボコォッ

ディアンシー「きゃーっ、いたーいっ」

ディアンシー(あ、あんなに大きな岩がふたつに割れてしまいました……!)

ディアンシー「まけません!(当たったら怖いので念のために)リフレクター!」(ペカーッ

ゼルネアス「つじぎり!」(倒れた木ズバッ

ディアンシー「がんせきふうじ!」(川にバシャバシャアッ

ゼルネアスインファイト!」(大岩ズガガガガッ

ディアンシー「いやーっ、いたいです、もうやめてーっ、きゃーっ」

ゼルネアス「今ならばまだ降参を認めてあげましょう」


ディアンシー「……これでとどめです、ダイヤストーム!」(割れた岩にブワアァッ


ゼルネアス「くっ……やられました……ディアンシー、貴方の勝ちです」

ディアンシー「やったぁ、うれしい」





ディアンシー「……」

ゼルネアス「……」

ディアンシー「……出て来る様子がありませんね」

ゼルネアス「何が悪かったのでしょう」
10  ◆vFXNMcLLi. 2014/09/01(月) 19:41:18 id:zatGL7860
ディアンシー「もう、こうなったら流れ星に願うしかありませんわ!」

ゼルネアス「流れ星に?」

ディアンシー「そうです!流れ星が消える前に願い事を言うとそれが叶うのです!」

ディアンシー「だから、イベルタルが外に出てきて、元気になるようにと願うのです!」

ディアンシー「そうすればきっと」




ぐうううぅ…………




ディアンシー「……」

ゼルネアス「この音は?」

ディアンシー「……私、お昼ごはんを食べていなかったことを思い出しました」

ディアンシー「さっきまでは平気だったのですが、バトルで体を動かしたら急に……」

ディアンシー「うぅ……おはずかしい……」(モジモジ
11  ◆vFXNMcLLi. 2014/09/01(月) 19:47:48 id:zatGL7860
ゼルネアス「なるほど、そういうことならコレをお食べなさい」


ドサッ ドサドサドサッ


ディアンシー「わぁ……!木の実がこんなにたくさん!ひとつ頂いても構いませんか?」

ゼルネアス「ええ。本当はイベルタルの為に用意していたものですが、お腹が空いているのなら話は別」

ゼルネアス「『空腹』は『生』と相反する存在。せいめいポケモンとして許すわけにはいきません」

ディアンシー「ありがとうございます!いただきますっ」(はむっ


モグモグモグ……


ディアンシー「……美味しい!とっても美味しいっ!」(ムグムグ

ディアンシー「ただ甘いだけではなくて、ちょっとだけすっぱいのがたまりません!」

ゼルネアス「おや、もう元気になったようですね」

ディアンシー「はい!ごはんはちゃんと食べなければいけませんね!」
12  ◆vFXNMcLLi. 2014/09/01(月) 19:54:02 id:zatGL7860
ディアンシー(そういえば、サトシも言っていました)

ディアンシー(『美味しいごはんをたくさん食べて、たくさん寝るのが元気の秘訣だ』と……)


ディアンシー(……サトシ……元気にしているでしょうか……)





ディアンシーゼルネアス、もっと食べてもいいですか?」

ゼルネアス「勿論、好きなだけお食べなさい」

ディアンシー「ありがとうございます!」

ディアンシー(こんな気持ちになった時は、美味しいごはんをたくさん食べるしか!)モグモグ


ディアンシー「うぅ……ほんとうにおいしい……っ!」

ディアンシー「この世界にこんなに美味しい木の実があったなんて……」(パクパク

ディアンシー「匂いもとっても素敵です……気持ちが優しくなっていく気がします……」(ムグムグ

ディアンシー「こんなに美味しい木の実を……お腹いっぱい食べれるなんて……」(ムシャムシャ

ディアンシー「とっても贅沢です……贅沢だけど、やめられません……!」(ガツガツ
13  ◆vFXNMcLLi. 2014/09/01(月) 20:02:00 id:zatGL7860
イベルタル「…………うがあああああああああああっ!!!!!」



ドゴォォォン!!!!!



ディアンシー「きゃあっ!!?」

ゼルネアスイベルタル、お久しぶりです。やっと出てきてくれましたね」

イベルタル「うっせぇ!!!お前ら!!!お前らなぁ!!!あのなぁ!!!」
14  ◆vFXNMcLLi. 2014/09/01(月) 20:04:42 id:zatGL7860
イベルタル「戸の前でべらべらべらべら喋りやがって!!!岩戸だぞ!!!全部聞こえてるに決まってんだろ!!!」

イベルタル「土食ってるかもって!?ちょっと食ったよ!!!クソまずかった!!!二度と食わねぇ!!!」

イベルタル「それになんだよ歌うとか踊るとか!!!キラキラリサイタルかよ!!!」

イベルタル「バトルごっこだってリアリティの欠片もねぇし!!!なんだあの大根芝居!!!」

イベルタル「お前のツノぶつけられた奴があんな棒読みの悲鳴上げるわけねぇだろ!!!」

イベルタル「本当に騙す気あったのかよ!!!俺から見たら全部ただのコントだったぞ!!!」

イベルタル「いや別に見てねーけど!!!聞いてただけだけど!!!内心ちょっと見たかったけど!!!」

イベルタル「しまいにゃ俺に見せつけるみたいに木の実を!!!なんだよ!!!なんの拷問だよ!!!」

イベルタル「言葉だけならまだしも甘い匂いプンプンさせやがって!!!回避率だだ下がっちまったじゃねーか!!!」

イベルタル「もうちょい頑張って籠城して!!!罪悪感で苦しめてやろうって!!!思ってたのに!!!」

イベルタル「思ってたのによーーーーー!!!なんだってんだよーーーーー!!!」



ディアンシー(どこで息継ぎなさってるのでしょう……?)モグモグ
15  ◆vFXNMcLLi. 2014/09/01(月) 20:11:11 id:zatGL7860
ゼルネアス「随分な内容の長台詞ですね。まずは落ち着きなさい」

イベルタル「んだと!これが落ち着いてられ」




ぐうううぅきゅるるるる……




イベルタル「……」

ゼルネアス「見事なまでにお腹が空いている音ですね」

イベルタル「お、俺は別に腹なんか……さっき土食ったし……」

ゼルネアスイベルタル、夕食にしましょう」

イベルタル「……いいのかよ?」

ゼルネアス「勿論。元はと言えば貴方に食べてもらう為に集めた木の実なのですから」

イベルタル「……俺、あんなひでーコト言ったのに……怒ってねーの?」

ゼルネアス「怒っていますよ」

イベルタル「へ?」
16  ◆vFXNMcLLi. 2014/09/01(月) 20:56:54 id:zatGL7860
ゼルネアス「あの森は素晴らしい森でした。様々な植物が根付き、多くのポケモンが住む美しい森でした」

ゼルネアス「……貴方はそれを一瞬で奪ったのですよ?痛む良心は無いのですか?」

ゼルネアス「それだけではありません。三百五十六年前の五月のことだって怒っています」

イベルタル「やけに細かいな……なんかあったっけ?」

ゼルネアス「膝カックンとやらをされました」

イベルタル「はぁ!?そんな昔のそんなことまだ根に持ってんの!?」

ゼルネアス「その伝説のポケモンらしからぬ言葉遣いにも怒っています。聞いていて目眩がします」

イベルタル「……お前、いつから俺のこと怒ってんの……?初めて会った時から……?」

ゼルネアス「そうですね、そうかもしれませんね」

ゼルネアス「出会った時から貴方のことが嫌いです」



イベルタル「……今、なんて?」

ゼルネアス「この美しい大地から尊い命を吸い取る存在である貴方のことが嫌いです」

イベルタル「ちょっと待って言葉が直球すぎて受け止めきれない」
17  ◆vFXNMcLLi. 2014/09/01(月) 21:17:44 id:zatGL7860
ゼルネアス「……少し、言い過ぎてしまったかもしれません。謝ります」

イベルタル「おせーよ……お前……あの時から俺のこと……そんな……」(グスッ



ゼルネアス「……イベルタル、聞いて下さい」

ゼルネアス「世界は『生』だけで成り立っているわけではありません」

ゼルネアス「『死』があるから『生』があるのです。貴方がいてくれるから、私もここにいるのです」

ゼルネアス「だから、貴方のする事を赦します」

ゼルネアス「貴方を心から愛することはできませんが、貴方の全てを受け入れます」

ゼルネアス「私は貴方が嫌いです。ですが、私には貴方が必要です」

ゼルネアス「付きすぎず離れすぎず、これからも仲良く喧嘩しながらやっていきましょう、イベルタル
18  ◆vFXNMcLLi. 2014/09/01(月) 21:33:21 id:zatGL7860
イベルタル「……仲良く喧嘩、か……」(グスン

ゼルネアス「不服ですか?」

イベルタル「いや、別に……いいけど……」

ゼルネアス「……納得いかないなら、私がもっと好意を抱けるような男になって下さい」

イベルタル「はぁ!?んなもんなっ……な……お、俺は今の俺を曲げるつもりなんか……!」

ゼルネアス「……それを聞いて安心しました。高貴な口調の貴方など気味が悪い」

イベルタル「なっ、なんだよそれ!バカにしてんのか!?俺だって本気出せばなぁ……!」


ディアンシー「…………ぷはあっ!ごちそうさまでした!」(おててフキフキ

ディアンシー「この味、とっても気に入ってしまいました!もっと食べたいくらいです!」

ゼルネアス「おや、本当に気に入ったようですね。まさか全部食べ切ってしまうとは」

イベルタル「おいおい育ち盛りかよ~ハハハ」


イベルタル「……………………はぁ!?」




ぐうううぅきゅるるるる…………
19  ◆vFXNMcLLi. 2014/09/01(月) 21:35:21 id:zatGL7860
短いですが終わりです。
昨日やっとディアンシー映画を見に行けて嬉しかった勢いだけで書きました。
ゼルネアスが女性声だったのにビックリしてイベルタルの無慈悲っぷりがかっこいいとおもった(作文)
20 名無しのデデンネ 2014/09/01(月) 22:38:57 id:nk4.k.8o0
ディアンシーくそ可愛かったやばすぎる
もっと続いてほしかったぜ……
乙!完結作のところにもう書いた?
21  ◆vFXNMcLLi.[sage] 2014/09/02(火) 19:01:35 id:z4fNmW9g0
どもです~。完結作まとめスレにも書き込んできました。

書き忘れてたので今更書くと、途中の歌は松本まりかさんの「azul」って歌です。
とあるアニメのキャラソンではありますが、ディアンシーのことを思いながら聴くとまた違った味わいに。特にサビ。